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石油危機による石油供給途絶の不安と石油価格の高騰は、「三0年」という数字が、一般の人々に石油資源の限界を広く迫真的に実感させる結果となった。 このいわゆる可採年数(R/P)と呼ばれる数字である。
七0年代初めにおける世界平均の可採年数が三0年前後であったことが、まず確認できる。 可採年数が石油資源の限界を真に示しているのであれば、この可採年数の値は、七0年代はじめから間違いなく滅っていかなければならなかったはずである。
イラン革命による第二次石油危機が勃発する七九年までは、確かに世界平均の可採年数が減少傾向を示しているが、石油価格の中東地域以外は世界平均を上回っていない。 飽和期を経てすでに減退期に入っている北米地域の場合には、可採年数が一0年を下回っているが、過去四0年近くにわたって非常に穏やかな可採年数の低下を示してきたといえる。
北海原油が発見された西欧地域では、実際の大規模な生産が始まる前、可採年数が著しく大きな値に跳ね上がったが、大規模生産が開始されると急速に低下して、現在は北米地域とほぼ同程度の水準になっている。 アジア・オセアニア地域の可採年数も、九0年代に入って徐々に低下傾向を示している。
さて、三0年後の枯渇を示唆した可採年数は、どうして減らなかったのであろうか。 本節の以下の項目では、まずその理由を解明していくことにしたい。
石油資源量の分類と定義可採年数の変化を分析するには、石油資源量の分類と定義を把握して、可採年数がどのような性格の数字から算出されているのかをおさえる必要がある。 これ一九八七年の世界石油会議で提案され、承認を受けたものである。
石油資源は、まず回収可能資源量と回収不可能資源量に分類される。 回収可能資源量は、一般実用化された技術を用いて経済採算が成り立つとともに、地理面、国際関係面、地球環境面など杜会的条件下で生産できる資源量である。

また、石油資源量も、既発見資源量と未発見資源量とに分類できる。 したがって、石油の回収可能資源量は、既発見の可採鉱量(原始可採鉱量)と未発見の原始鉱量のなかの未発見回収潜在量の合計となる。
既発見の可採鉱量(原始可採鉱量)は、累計生産量に、確認可採鉱量と未確認可採鉱量を加えたものである。 未確認可探鉱量は、さらに推定可採鉱量と予想可採鉱量に分けることができる。
これらのなかで、確認可採鉱量が、すでに言及したいわゆる残存確認埋蔵量に該当する。 前述した「石油・天然ガス等の資源に関するスタディ」では、一九九五年末時点の評価として累計生産量を七五六七億バレル、確認可採鉱量を九一五四億バレル、未発見回収潜在量を四000億バレルと推計している。
さらに、これらを合計して究極可採資源量を二兆七二0億バレルと評価している。 このほかにE0R増進採収法)技術によって見込まれる追加可採鉱量を一七00億バレルと報告している。
一般的に約七・五兆バレルと評価される石油資源の原始埋蔵量を用いると、究極可採資源量の回収率は二七・六%となる。 これに、E0Rによる追加可採鉱量の評価値も加えると、回収率は二九・九%に増加する。
一九九八年の世界石油会議によるエネルギー資源量の報告では、九六年末時点の評価として、なかには、石油資源の確認可採鉱量を一四六一・0二億t、NGLとして原油とは分離評価することができた一九・八八億t、一兆七九六・四三億バレルと評価している。 この一一一0・七三一億パレルも含まれている。

国によっては、原油とNGLを分離評価することができていないところもある。 また、この報告では、合計すると二八四・四二億t、二00四・六四億バレルになる石油資源(原油十NGL)の追加可採鉱量も報告されている。
九五年の原油生産量(p)は二二五・九億バレルであるので、「石油・天然ガス等の資源に関するスタディ」の確認可採鉱量いわゆる残存確認埋蔵量(R)に対する可採年数は四0・五年となる。 同じ原油生産量を適用すると、未発見回収潜在量の部分に対する可採年数が一七・七年、E0Rによる追加可採鉱量の部分が七・五年となるので、これらを可採年数に順次加えていくと、五人・二年、六五・七年といった可採年数の増加を予想することができる。
また、世界エネルギー会議の報告書では、九六年時点の石油資源(原油+NGL)の残存確認埋蔵量に対する可採年数が四二・六年と評価されている。 石油資源量の分類と定義は、あくまで現在の技術と経済条件下で回収可能か回収不能かを判断したものである。
したがって、可採年数を計算するために用いる石油資源の確認可採鉱量すなわち残存確認埋蔵量も、現時点の技術と現時点の原油価格水準に依存する量である。 可採年数の算定に用いる原油生産量も、原油価格の水準によって省石油や石油代替エネルギーへの転換が起こって石油需要が変化するので、現時点の原油価格水準に依存する量であるといえる。
第一次石油危機の勃発から二五年以上を経過した現在も、四0年を超える可採年数の値を維持している理由は、これを算定するこつの量が原油価格水準に依存して変化するからである。 石油資源の残存確認可採埋蔵量の変化を過去四0年にわたってながめてみる。
八六〜八八年にかけて中東地域の残存確認埋蔵量が異常に急増した理由は、石油輸出国機構(0PEC)が原油生産枠の加盟国への配分にあたって残存確認埋蔵量の大きさも判断基準の一つとしたため、0PEC加盟の中東産油国などがこの時期にこぞって残存確認埋蔵量の増加を公表したからである。 このようなポリテイカルな経緯から、逆に残存確認埋蔵量としてしかるべき確認を経た数字なのか、疑問とする見方も実は出されている。
毎年発表される石油資源の残存確認埋蔵量は、前年の残存確認埋蔵量からその年の原油生産分を差し引き、同じくその年の石油資源の探鉱・開発により確認された追加埋蔵量を加えたものになる。 世界全体の残存確認埋蔵量が年々増加してきたのは、合計するとこれまで原油生産量よりも確認された追加埋蔵量の方が多かったからである。
この図をみると、@中東地域、中南米地域で残存確認埋蔵量の純増が特に大きくみられること、A九0年代に入って世界全体の純増規模が大幅に縮小したこと、B北米地域、西欧地域、アジア・オセアニア地域など純減となっても比較的穏やかであること、などがわかる。 九0年代に入って残存確認埋蔵量の純増規模がかなり縮小していることや、八0年代以降は巨大油田の発見が明らかに少なくなっていることなどから、石油資源の先行きを懸念する声も上がる一方、石油消費に不安感を抱かせないよう、原油生産量を補填できる追加埋蔵量が常に更新されるのだという、残存確認埋蔵量あるいは可採年数のうがった見方も存在する。
いずれにしても、一九六0年から四0年にわたって残存確認埋蔵量が増加し続けてきたことが、二一0年前後で石油資源に限界という警鐘にもかかわらず、現時点でも今後四0年近い可採年数を想定できる大きな理由の一つである。 可採年数の値は、残存確認埋蔵量と原油生産量という、どちらも原油価格水準に依存して変化する数量から決まるので、あまりに強い絶対的な意味をもたせることは実際には適切でない。
原油価格はなぜ横ばいで推移するか革新的な探鉱・開発・生産技術の普及と非0PEC原油の増産二回の石油危機で高騰した原油価格は、一九八六年にサウジアラビアがネットパック販売を開始したことによって大暴落を起こした。

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